認知症ケアコーチング支援のためのMinskyの感情思考モデルに基づくケア知の表現
Abstract
本発表では,発展途上である認知症ケアの形式知化に向け,Minsky の心のモデルを活用してケアにおける思考プロセスを表現した結果について述べる.発表者らは Evidence-basedcare の実現に向けて,認知症ケアのエビデンスを作り,活用するためのプラットフォームの構築を進めている.これまでに,マルチモーダルコミュニケーション技法ユマニチュード®に着目し,見る,話す,触れる等の優しさを伝えるスキルの可視化を行い,郡山市医療介護病院内での実践的研究により,指導者のコーチングを支援できることを示した.しかし,認知症の多様な状況にどのようにスキルを使えばいいのか,という考え方に関しての検討は十分ではなかった.ケアはある症状への対応という1対1の関係ではない.認知症の人の状態,行動の意図,利用すべき知識,感情の変化,ケア全体としてどういう意味をもつのか,などのさまざまな知識が統合された結果である.このような多様な知識を表現するために,事例映像に対して認知症ケア従事者が用いたスキルと,そのスキルを用いるに至った思考を Minsky の感情思考モデルに基づき構造化した.ケア従事者によって状況を捉え,どのスキルを選択するかに至った過程を表現する知識表現モデルを設計した.設計した知識表現モデルによって,ケア従事者のコーチングの思考プロセスが可視化され,認知症ケア高度化に寄与することが示唆された.なお,本研究は静岡大学倫理委員会の承認を得たうえで実施された.
Type
Publication
みんなの認知症情報学会 第1回年次大会