組織全体の認知症ケアスキル向上のためのビデオコーチング環境の実証実験と介入指導インタラクションの分析
Abstract
本論文は,認知症ケアの持続的なスキルアップに組織全体で取り組む医療介護施設に,全員参加型のビデオコーチング環境を導入し,現場で収集した実践データに基づき,スタッフのケアスキルの変容と介入指導インタラクションの特徴を分析した結果について述べる.認知症ケアは看護・介護技術を実践する身体的能力に加えて,被介護者の状態に応じた状況判断能力などの複雑で習得が難しい高度なスキルが求められる.このような高度なスキルの習得のためには,継続的な実践とコーチングによる介入指導の役割が大きいが,対面による介入指導だけでは時間や場所が限られる.本ビデオコーチング環境では,これまで実施されてきた対面での介入指導インタラクションを,ケアの実践動画を用いたビデオコーチングに置き換えることでこれらの問題を解決する.慢性期病院において,本学習環境に基づく学習を7事例実施し,ビデオコーチングによるケアスキルへの影響と介入指導インタラクションの特徴を分析した.その結果,ビデオコーチングにより認知症ケアスキルの向上を確認し,ビデオコーチングによる教育的な効果を明らかにした.また,介入指導の実践データからエキスパートの指導の特徴が明らかになり,組織全体で介入指導スキルを共有できる効果があることが分かった.
Type
Publication
情報処理学会論文誌