生活支援ケア向上のためのマルチモーダル心身環境センシングに基づく認知症高齢者の状態像理解
Abstract
認知症高齢者に対して質の高いケアを提供するためには, 当事者の心的状態や, 温度や気圧など当事者の取り巻く環境の要因を同時に考慮することが求められる. 筆者らは, 介護施設に環境データを計測する物理センサーを複数設置して, 居住空間の環境状態や日常生活のケアにおける環境調整の意図を明確にする研究を進めてきた. 本研究では, 環境状態の変化と被介護者の心身状態をセンシングできるデータ収録環境を整備し, 介護現場で収集したデータを心身と環境に着目した構造化知識表現によって解釈するデータ分析環境を構築した. データ分析の実践により, ケア時の被介護者の反応と気圧の関係性や室温と夜間頻尿の関係性を客観的に捉え, 生活支援ケア知創出に繋がる仮説を複数生成した. 現場へのフィードバックにより, 獲得した知見がスタッフのケアスキル向上に活用できる見通しを得た.
Type
Publication
第21回高齢社会デザイン (ASD) 研究会